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- 2013/10/31
- 17:06


肩で息をしながらやっとの思いで階段をのぼりきると、そこには木でできた質素な扉がありました。
扉は半ば開いていました。中から、からからとかすかな音が絶え間なく聞こえています。
その薄く開いた隙間から、そっと姫が中を窺っていると、その背中に
「それは糸車の音です」
と、聞き慣れない女の声が浴びせられました。
肩がびくっと震えました。驚いただけではありません。両親は必死に隠していましたが、侍女たちのひそひそ話から、自分の糸車の呪いのことは知っていたのです。
姫は、できるだけ毅然として振り返りました。見慣れない顔の侍女が、姫のすぐそばに立っていました。
「……ではそなたが、私におそろしい呪いをかけた悪い魔法使いか」
侍女は微笑みました。姫にはそれがとても恐ろしく感じられました。
「確かに、呪いをかけたのは私です。しかし、悪い魔法使いではありません」
扉は半ば開いていました。中から、からからとかすかな音が絶え間なく聞こえています。
その薄く開いた隙間から、そっと姫が中を窺っていると、その背中に
「それは糸車の音です」
と、聞き慣れない女の声が浴びせられました。
肩がびくっと震えました。驚いただけではありません。両親は必死に隠していましたが、侍女たちのひそひそ話から、自分の糸車の呪いのことは知っていたのです。
姫は、できるだけ毅然として振り返りました。見慣れない顔の侍女が、姫のすぐそばに立っていました。
「……ではそなたが、私におそろしい呪いをかけた悪い魔法使いか」
侍女は微笑みました。姫にはそれがとても恐ろしく感じられました。
「確かに、呪いをかけたのは私です。しかし、悪い魔法使いではありません」
- テーマ:オリジナル小説
- ジャンル:小説・文学
- カテゴリ:第4話『勇ましい眉雪の仕立て屋』
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